EMS
トレーニング

●EMSトレーニングとは

EMSトレーニングは、「電気筋刺激トレーニング」のことを指します。
EMSトレーニングについて理解するには、まず運動のメカニズムを把握する必要があります。

●運動の仕組み

人間は身体を動かすとき、脳から筋肉に指令（電気信号）を送ります。
その指令を受け取った筋肉が収縮して、運動が行われる仕組みになっています。

EMSトレーニングは、外部からの電気刺激によって神経を興奮させ、強制的に筋収縮を起こすことで、運動効果が得られるようになっています。
自分自身で意識していなくても筋肉を動かせることが、EMSトレーニングの特徴です。

●EMSを使用したトレーニング方法

EMSトレーニングは、専用の機器をつかって行うことが一般的です。
EMSトレーニングの機器には、さまざまな種類があり、なかには寝たまま行えるものもあります。
身体を動かすことなく筋肉を効率的に鍛えられるのが、EMSの大きな特徴といえるでしょう。

なお、EMSトレーニングは家庭でも行えますが、やはり専門家の管理のもとで取り組むことがおすすめです。
注意するポイントやトレーニング方法、メニューなど、患者様の状態にあわせて提案してもらえます。

●加圧トレーニングとの違い

近年注目されているトレーニング方法に、加圧トレーニングというものがあります。
加圧トレーニングとは、専用のベルトを使用して血流を制限し、高い筋肉増強効果を得るトレーニング方法です。

電気刺激で筋肉を動かすEMSトレーニングとは、まったく別のものになります。

●インナーマッスルとは

インナーマッスルとは、身体の深部にある筋肉で深層筋のことをいいます。
インナーマッスルに対してアウターマッスルは、身体の表面にある筋肉で表層筋のことをいいます。

●インナーマッスルの種類

インナーマッスルの種類は、次のようなものがあります。

・体幹のインナーマッスル

∟腹横筋
∟多裂筋
∟横隔膜
∟骨盤底筋群

・上肢のインナーマッスル

回旋筋腱板（肩甲下筋、小円筋、棘上筋（きょくじょうきん）、棘下筋（きょくかきん））

・下肢のインナーマッスル

∟深層外旋六筋（上双子筋、下双子筋、大腿方形筋、梨状筋、外閉鎖筋、内閉鎖筋）
∟小殿筋
∟腸腰筋

●インナーマッスルの作用

インナーマッスルには、関節や内臓の位置を安定させる働きがあるといわれています。
動作時にアウターマッスルとともに働くことで、姿勢を保ったり動作のサポートをしたりする作用があります。

EMSトレーニングの効果は、次のようなものがあります。

●筋肉増強効果

電気刺激で筋肉を動かせるため、EMSトレーニングを継続することで筋力増強が可能になっています。
なお電気刺激を行いつつ、あわせて身体を動かす方法もよくとられます。
EMSトレーニングと自身の運動をかけ合せることで、短時間で効率的に効果が得られやすくなるというメリットがあります。

●リハビリテーション効果

EMSトレーニングには、リハビリテーション効果も期待できます。
病気によって身体をうまく動かせなくなっている方であっても、EMSトレーニングの刺激で筋肉を自動で動かせるようになっています。
筋肉の収縮と弛緩を繰り返すことで、筋力低下の防止が期待できます。

また、EMSトレーニングは負荷を徐々に強めていけるため、回復度合いに応じて調整できるのも魅力になります。

●ケガの予防

骨格を支えているインナーマッスルを鍛えることで、体幹の安定感が増します。
また、筋力を鍛えておくと急な負荷にも身体が耐えられるようになるため、転倒やスポーツによるケガのリスクを軽減できます。

ダンベルなどの重いものを持ち上げて行うトレーニングに比べると、EMSトレーニングは身体にかかる負担が小さくなっています。

運動をハードに行う方はもちろん、運動をあまりやってこなかった方、自分で筋肉を動かすのが難しい方でも、気軽にトレーニングに取り組むことができます。
さまざまな身体の状態に合わせて行えるのは、EMSトレーニングならではといえます。